学校名 : 多摩大学目黒中学校・高等学校
利用機能 : 学習トレーニング
利用目的 : 学力向上・学習意欲の向上
- 教科:数学において、中学1年生の段階から学力差が広がりやすい
- 学力差を埋めるための個別指導にあたり、教員の業務負荷が増える
- 一定の学力層に合わせた難易度・量の課題取り組みでは、学習意欲を損ねる生徒が存在する
- 生徒の学習意欲を損なわないよう「学習トレーニング」機能を活用
- 教科指導と合わせて「中学1年生の段階から進路意識および学習意欲を高める仕掛け」を用意
- 学習トレーニング機能活用により、個別指導に費やす業務負荷を削減
- 夏期休暇の課題配信後の生徒アンケート結果において、80%以上の生徒から「自分のためになった」と前向きな回答が集まる
- 教科指導と合わせて、4月段階から進路意識・学習意欲を高めたことで、夏期休暇の課題配信~提出では、教員による大がかりな追い切りが不要となる
一律の難易度・量の課題取り組みに伴う学習意欲の低下リスク
多摩大学目黒中学校では、各科目において基礎基本を徹底し、高校段階における大学入試に則した授業展開に備えた「学力の土台づくり」に重点を置いた学習指導がおこなわれています。
中学1年生担当の和田先生は、担当教科:数学において「同じ授業を受けていたとしても、中学1年生の段階から『生徒間の習熟度の差』が顕著にあらわれてしまう」という課題感を持っていました。
同時に、中間層に合わせて一律の難易度・量の課題を課す指導のみでは、得意な生徒にとっては物足りなく、苦手な生徒にとっては難しいという状況が生まれます。結果として「学習意欲を低下させるリスク」につながりかねないと懸念を抱いていました。
意欲を低下させないよう個別指導するほど、業務負荷が高まる
和田先生は、過去:2022年度まで担当していた高校3年生に対して「長期休暇期間における生徒個別課題の用意・個別指導」を実施しました。取り組み結果として、例年と比べて良い進学実績を残すことができた一方で、教員としての業務負荷は非常に高く、あらためて効率化の必要性を痛感したとのことです。
中学1年生から進路意識を段階的に高める取り組み
2022年度までの指導経験をふまえ、和田先生は次のように考えました。
- 昨年度:高校3年生に対しては、教科指導に加えて、高校1年生の段階から「GTZをどのように活用すべきか、大学入試までどのように学習に向き合うべきか」を継続的に説いたことで、良好な進学結果につながったのではないか。
- 中学生段階においても、進路に対する意識を高めることで、学習意欲および学力の向上につなげられるのではないか。
そして、今年度春から中学1年生向けの新たな指導取り組み(3つのSTEP)を開始しました。
STEP1:生徒・保護者へ「大学進学に向けたベネッセテストとの向き合い方」を説明
4月下旬に開催された保護者会において、2023年度:卒業生における「中学1年生段階のベネッセテスト(第1回:学力推移調査) と大学進学実績の関連性」をデータを用いて説明。
具体的な得点と進学先の大学名を示しながら、以下のポイントを伝えました。
- 中学1年生段階のテスト結果が悪くても、高校3年生までにはリカバリーできること
- 生徒自身で進路実現に向けて、テスト結果をふまえて今後6年間の定期考査、ベネッセテストとどのように向き合うべきかを考え、改善を続けることが大切であること
後日、生徒に対しても同様の内容を説明し、大学進学に向けた日々の考査、ベネッセテストへの取り組み意識を高めていきました。
STEP2:大学進学を身近にさせる機会づくり
中学1年生にとって「6年先の進路」「より上の目標レベル」を目指すよう意識づけすることは簡単なことではありません。
そこで、和田先生は「卒業生から話を聴く機会」を設けました。
生徒にとっては、卒業生の体験談を通じて「いつ頃から大学進学への意識を持ち始めたのか、中学時代にどのようなことに意識を向けるべきだったのか」を知ると共に、大学進学を自分事として捉えるための良い機会になっているとのことです。
STEP3:学習意欲を阻害させない個別最適化を実現する学習トレーニング
和田先生は、大学進学を身近なものとして捉え、進路意識が高まった中学1年生に対して、夏期休暇の数学課題として、Classi学習トレーニング機能活用を開始します。
上記の取り組みにあたり、生徒に対して期末考査終了タイミングで、以下の内容について事前説明しました。
- 取り組むべき課題内容
- 生徒のレベルに合わせてAIがおすすめしてくれる演習問題への取り組み方法
- タブレット端末だけではなく、ノートとペンを用意すること
【生徒向け夏期課題の取り組み説明文書】
課題配信後は、夏休み前に取り組む生徒、夏休み最後にラストスパートをかける生徒に分かれつつも、ほとんどの生徒は夏期休暇期間内に課題の取り組みを完了。
未完了だった数名の生徒に対しては、夏休み明けに和田先生から Classiの校内グループ上で、リマインド(計2回)発信するのみで、全て完了しました。
また、学習トレーニングの配信と併せて、夏期休暇期間中の校内講座において「GTZの活用法、学習方法・目標設定の仕方」に関する説明をおこないました。
説明の際は、単純に目標設定を促すだけでなく「偏差値とGTZの関係性、偏差値を上げるとはどういうことなのか」についても説明をおこなったとのことです。
【校内夏期セミナー:生徒向け説明資料】
生徒の学力レベルに合わせて個別対応していた長期休暇向け課題準備が不要に
和田先生は、2022年度まで「ベネッセ記述模試ごとに答案コピーを確認→約40名の生徒に対して長期休暇期間におすすめ課題を紙で用意→個別指導」を実施していました。該当生徒の進学実績は良い結果につながったものの、教員としての負担は非常に大きなものでした。
一方、今回の中学1年生指導においては、学習トレーニング機能活用により個別最適化された課題配信が可能になり、これまでの生徒個別かつ紙による課題準備が不要となりました。
また、夏期休暇期間中に中学1年生と会話した際には「タブレット端末で、課題に取り組むこと自体が新鮮で楽しいです!」という前向きな反応も返ってきたとのことです。
そして、夏期休暇明けに実施したアンケート結果においても、
- 約60%の生徒が5段階評価の4以上を選択する形で取り組みやすさを評価
- 約80%の生徒が4以上の評価をつけて自らの学習理解に役立ったと評価
という形で、生徒からの前向きな評価を得ることができました。
『教員が追いかけないと学習に向かうことが困難』という意識を変えたい
和田先生からは、今回の振り返り、今後の展望として以下のお話をいただきました。
「中学生の学習指導において『教員が生徒を追いかける指導が必須』という意識をお持ちの先生方も多いと思います。
私自身はこれまでの指導経験から『中学生だとしても、自らの進路を意識させることで、自主的に学習に対して向き合える』と確信しています。だからこそ『中学生においては、教員が追いかけない限り、学習に向かうことが困難である』という意識を変えていければと考えています。
Classi学習トレーニング機能については、今後も生徒の特性や利用場面を考慮し、日々の学習指導に組み込んでいく予定です」
(例)
- 学習意欲が高く維持できる生徒向け:自主学習機能の利用呼びかけ
- 部活動等で忙しい生徒向け:最低限、校内外テスト前後における課題配信
- 冬期休暇期間における課題配信