学校名 : 履正社高等学校(大阪府)
利用目的 : 進路指導・生活指導
- 担任の先生は、模試結果や定期考査の成績など、分散された情報を集めて、3者面談のたびに生徒と保護者への説明資料を作成していた
- 保護者は、自分の子供の成績の推移や試験結果を把握できていないことも多く、目指す進路が現実的かどうかを理解していないことも
- 生徒は、職員室に行く姿を知られたくないという思いから、悩みがあっても先生に気軽に相談しにくい
- 生徒カルテ(※)に生徒の各種成績情報を登録し、生徒と保護者に情報を連携
- ポートフォリオでは、生徒の自主性に任せた活動の振り返りの蓄積や、先生への悩み相談などを自由に投稿できるように告知
- 生徒カルテの成績情報連携により、担任の先生は生徒のこれまでの模試の成績変遷を把握し、3者面談に役立てることができ、保護者は自分の子供の成績をいつでも確認できるように
- ポートフォリオは、生徒の活動振り返りから先生とのコミュニケーションを生み出し、生徒が悩みを相談できる窓口のような役割を果たし、問題の早期発見や解決につながった
※先生には「生徒カルテ」、生徒と保護者には「成績カルテ」という名前で表示されます
アナログでの情報管理が「学びの個別最適化」を阻む
履正社高等学校は、2022年に創立100周年を迎え、時代の流れに合わせて学びに変化が生まれています。「学びの個別最適化」として、ICTを活用したさまざまな取り組みを推進しています。
生徒指導において、生徒の個性を尊重したアプローチを実現するための取り組みとして、生徒カルテを活用して総合的な活動成果を一元管理しています。生徒カルテには、学習成果だけでなく、部活動や行事、取得資格なども記録されます。
生徒カルテのデジタル管理が導入される前は、活動の振り返りやレポートを紙で提出し、先生が検印をして生徒に返却すると、紛失してしまうこともありました。そのため、生徒の貴重な体験を指導に活かすことが十分にできませんでした。
また、評定や定期考査などの学習成果もアナログで管理されており、校内の教員間での共有や3者面談で保護者に報告をする際に情報をまとめる作業に時間がかかっていました。
生徒情報とコミュニケーションのデジタル化で個性を尊重した指導を実現
履正社高等学校では、生徒の評定や定期考査の点数・順位、観点別評価を生徒カルテに登録しています。また、授業や定期考査後に振り返りアンケートを実施し、生徒の主体性を評価するためにも活用しています。
これらの学習に関する情報は、先生や生徒だけでなく、保護者も閲覧することができます。定期考査の結果を生徒カルテに登録すると、先生から校内グループで生徒と保護者に連絡。1週間で1,000名以上の保護者が生徒カルテにアクセスすることもあり、保護者の関心の高さも伺えます。先生から直接保護者へ情報を届けることで、生徒の学習状況を確実に伝えることができるようになりました。
体育祭や文化祭などの学校行事の後は、生徒の自主性に任せて活動の記録をポートフォリオに蓄積しています。生徒のさりげない投稿から、先生とのコミュニケーションが生まれ、生徒がどのように活動に向き合っていたのかを把握することができます。
活動の記録だけでなく、生徒の悩み相談の窓口としてもポートフォリオは活用されています。
学習面だけでなく、生活面においても個性を尊重した個別最適な指導を進めるためには、日々の生活の中で生徒が抱える悩みを引き出し、寄り添う必要があります。
一人ひとりに向き合ってあげたい先生方の思いがある一方で、生徒が職員室に行き、相談を持ち掛けることは心理的ハードルが高い状況があります。
履正社高等学校では、対面だけでなく、インターネットを通して生徒をサポートする「ネット担任制度」を導入しています。入学後のオリエンテーションの段階で生徒・保護者には悩みがあればポートフォリオへ投稿するように伝え、集団での対面サポートが難しい課題に対しても、ICTのメリットを活用して個々に向き合っています。
SNSをはじめとしたデジタルでのコミュニケーションに慣れた生徒たちが相談しやすく、学校としても情報を閉じずに安全に運用ができるClassiのポートフォリオでの悩み相談の活用が始まりました。生徒からの相談が投稿されると、担任や副担任の先生が内容を確認し、ポートフォリオ上でのコメントでのやりとりや、直接の話し合いを通して、生徒の悩みを早期に把握し、無事に解決したというケースも出てきています。
先生は生徒カルテから学習情報やポートフォリオに蓄積された生活情報(行事の活動記録や悩み相談など)にも簡単にアクセスできるようになり、面談時の準備時間の削減につながっています。