2025年3月12日(水)に全国のClassi活用校の先生方を対象とした「FY25活用準備会セミナー/『「うちの学校だけ?」他校の失敗事例と成功の秘訣を大公開!』」をオンラインで開催いたしました。
当日は、上宮高等学校 池田竜司先生、九州国際大学附属高等学校 桑野健太郎先生、箕面自由学園中学校・高等学校 新庄秀臣先生の3名をお迎えし、「管理責任者・管理者の役割」、「校内体制・周知」、「設定登録」、「機能活用のコツ」の4つのテーマについて、パネルディスカッション形式で取り組みや工夫を深掘りしました。
「初めて年度更新を担当する」、「他校ではどのように運用しているのか知りたい」といった先生方の関心も高く、チャットやQ&Aでは多くの質問が寄せられました。本記事では、当日のやりとりを交えながら、セミナーの内容を振り返ります
管理責任者・管理者の役割
管理者として「設定漏れがないか不安」への対応策
年度更新は年に一度の作業のため、「何か忘れていないか」と不安になる先生も多いと思います。桑野先生はそんな課題を解消するため、年度更新作業工程のチェックリストとフローチャートを作成。誰が、いつ、何をするかを明確にし、教務側の依頼を起点にICTチームが対応するルールを設定しました。
また作業は1人で完結させず、各担当が“バトン”を渡しながら進める形式に。さらに、教務と早期に連携することによって出席番号など必要な情報の受け渡しもスムーズになりました。
属人化を防ぎ、「誰が担当でも進められる」仕組みづくりがポイントです。
引き継ぎで困らないための“運用ルールとマニュアル”を作成
異動による引き継ぎをおこなった経験から、新庄先生が特に重視したのは「学校として何のためにClassiを使うのか」を明確にすることでした。「設定登録」、「校内グループ」など、“なくては困る機能”に絞って運用を設計。
さらに、教員用の運用マニュアルには、導入目的から機器の使い方、トラブル対応までを網羅。生徒向けにはルールブックを作成し、利用上の注意や相談窓口も明示しました。これらをiPad内に常備し「使わざるを得ない」状態を構築。
「事前の設計と準備は大変ですが、導入初期に整えることで、引き継ぎもスムーズになります」とのことでした。
校内体制・周知
校内周知の工夫は「使わざるを得ない」環境づくり
校内の先生方にClassiを積極的に使ってもらうため、「使わざるを得ない状況」をつくる工夫をされていました。桑野先生は、新任研修時にIDを配布しているそうで、研修で実際に使ってみることも効果的とのことでした。
池田先生は、学年会議の冒頭5分を貰って「今週使えるClassi機能」を紹介したり、新任先生のみの校内グループを作ってコミュニケーションをとるなど工夫されていました。
また新庄先生は、GoogleとClassiの役割を整理、明確に分けることで活用への納得感を高めたり、教員同士の情報共有のための勉強会を開催し、活用事例を共有する工夫も紹介されました。
生徒の活用は「使い続けたくなる仕掛け」、「習慣」が鍵
生徒にClassiを活用してもらうには、初期導入と動機づけが重要です。新入生ガイダンス内で「ログイン体験」を組み込み、アンケート回答を通じて「アクセスできた」ことを確認させる取り組みが紹介されました。
また学習トレーニングの取り組み状況を観点別評価に組み込むなど、生徒が使うメリットを感じられる設計も効果的とのことでした。
加えて、夜9時に英語問題を配信する「ナイングリッシュ」など、日常的な利用シーンを作ったことで、利用の定着が進んだそうです。
さらに保護者にも入学前からClassiの登録を促すことで、家庭との連携もスムーズになったり、ポートフォリオを活用した面談での成長プレゼンなど、生徒自身が使う価値を感じられる仕掛けが、生徒の利用定着につながりました。
設定登録
新年度の設定登録はタイミングと連携がポイント
新年度のClassiの設定は、在校生と新入生で対応が異なります。桑野先生の学校では、在校生の新クラス情報を春休み中に登録し、新入生については「新入生登校日」の登校を前提に登録を進めるそうです。
池田先生の学校では、入学式当日にClassiの年度表示を切り替え、その場で保護者にIDとログイン手順を案内しています。入学初日から校内グループで情報を発信することで、保護者のログイン率はほぼ100%に。さらに、在校生にはClassi上で自分の新クラスを確認できるように設定し、スムーズな新年度のスタートを実現しています。
新庄先生の学校では、中学と高校で年度切り替えのタイミングが異なるため、中学校側では一旦「未定クラス」として仮登録を行い、登校日に発表する工夫をされていました。
校内ルールの整備で運用をスムーズに
校内ルールが整っていないと、校内グループが乱立し、生徒や保護者がどの情報を見ればよいか混乱してしまうケースがあります。池田先生の学校では、グループ作成者や投稿者を明確にし、運用ルールを定めているそうです。
新庄先生の学校でも、校内グループの命名ルールを工夫。たとえば「3年1組」などの汎用的な名前ではなく、「◯◯中学校より連絡」など発信元や目的が一目で分かる名称に統一し、保護者にも分かりやすくしています。また生徒カルテの「生徒メモ」機能を使い、中学と高校間の引き継ぎ事項を記録する運用も徹底しているとのことでした。
さらに、グループの「年度設定」にも注意が必要です。年度を指定せずに作成すると翌年度も表示され続けるため、不要なグループが蓄積される原因に。年度を明示しておくことで、更新後に自動的に表示が整理され、運用しやすくなります。
機能活用のコツ
学習記録で「学びのサイクル」を可視化する
桑野先生は、学習記録を「学習サイクルの整理・定着」に活用しています。特に、高校進学後に成績が伸び悩む要因として「正しい学習方法が身についていない」点を挙げ、生徒が自身の学習内容を記録・振り返る習慣を促進。
学習記録には学習時間ではなく「何を学んだか」を書かせ、定期テスト前の振り返りに活用。記録を通して、生徒が自分の学びを構造化し、主体的に改善する仕組みをつくっています。
当日質問
参加者からは、学習トレーニングの活用と評価、校内研修の進め方、生徒カルテや生徒メモの活用、教員間での活用温度差への対応策などに関する質問が多く寄せられました。
おわりに
今回のセミナーでは、年度更新や校内ルールづくり、生徒・保護者へのClasisの浸透方法まで、実際の運用に即した工夫やリアルな課題が数多く共有されました。
どのお話も「自校の状況に合わせてどう設計し、どう巻き込むか」という視点が随所に感じられ、他校でも活かせる工夫が詰まっていたのではないでしょうか。
新年度の準備や活用の見直しにあたって、セミナーの内容が一つでもヒントになれば幸いです。
今後もClassiでは、先生方の学び合いの場を提供してまいります。